2010年02月20日

新公約

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THE STRUGGLE CONTINUES/DEWEY REDMAN(ECM)/1982

ここは音楽の感想文ブログでございます。これから5回連続で音楽の話だけをしてみたいと思います・・・というような事を昨日書いたら、またまた頓挫してしまったので、今度こそマニフェストとして皆様にお約束いたします。

1982年のデューイ・レッドマンのアルバムが復刻された。すぐ気に入って繰り返し聴いているが、ちっとも飽きない。ありきたりのカルテット編成で、フォービートやブルースをフツーに演奏しているだけなのに、肩の力が抜けた演奏がとてもフレンドリーなのだ。ドシャメシャも少しだけ出るが、アクセント程度なので安心されたし(個人的にはもう少しあってもいいけど)。

風通しの良いオリジナル曲で心置きなくブロウしているのが素敵だ。曲によってはエレキベースを使っているが、ゴロゴロと転がるようなフォービートが気持ち良い。1曲目「スレン」は典型的なバップ回帰チューン。起伏の激しいリフをピアノとユニゾンで演奏し倒して、軽快なフォービートでスイングする。くるくると表情を変えつつも奇をてらわないレッドマンのテナーは、まるで寄席で見る百面相のような渋い芸を感じさせるのだ。モーダルなピアノのソロも聴き応えがある。

ジャズ・ワルツ「ラブ・イズ」は甘さに流されない乾いた哀愁が男心にジワリと染みる。ゆったりとしたテンポでスイングしながら、少なめの音数で短編小説を吹き尽くすレッドマン。寄せては返すチャールズ・ユーバンクスの「さざなみピアノ」も美しい。数回現れる不協和音のブレイクがアクセントになっている。3曲目「ターン・オーバー・ベイビー」だけはエレキベースで、いきなり3連ブルース大会が始まる。テキサス・ホンカーの出自丸出しで歌いあげるレッドマンのテナーが聴きものだ。しかし次第にピアニシモになっていき、あっけなく終ってしまう5分足らずの小品。

まるで初めて聴くスタンダードのように明るくて楽しげなメロディを持つ4曲目「ジョア・ド・ヴィーヴ」も、実はレッドマンのオリジナルだ。アップテンポのフォービートで軽快に飛ばす、ケレンの無いジャズ演奏が潔い。ラストのバース交換に至るまで、完全にジャズ・マナーの1曲だ。そして小さな噴火を繰り返す活火山のような出だしから、超高速で疾走する5曲目「コンビネーションズ」。小刻みなパルスを送るドラムスとベース、不穏なコードを叩きつけるピアノに乗って、いよいよレッドマンの「フリー官房長官」としての本領発揮。その生々しい肉声に全身の血が逆流する思いだ。いいぞ、もっとやれ。

ラストに置かれたチャーリー・パーカーの「デューイ・スクエア」だけは、レッドマンのオリジナルではない。1曲目同様、これまたストレート・アヘッドなバップ曲である。マーク・ヘリアスのウォーキング・ベースが抜群のサスペンションで、アップテンポのフォービートを支えている。ジンワリと腰に来るエド・ブラックウェルのシンバルも気持ち良い。レッドマンのテナーはもちろん、小粒のジャッキー・バイヤードみたいな変幻自在のピアノソロも素晴らしい。

デューイ・レッドマン+ECMレーベルという組合せから、現代音楽チックな演奏を予想して身構えていたが、拍子抜けするほどストレート・アヘッドなジャズだった。と、ここまで書いてパット・メセニーのECM盤『80/81』では、白人プレイヤーに囲まれて、独り濁ったサウンドで自己主張していたレッドマンを思い出した。これから久しぶりに『80/81』でも聴いてみるか。

Thren(7:51)/Love Is(10:25)/Turn Over Baby(4:28)/Joie De Vivre(8:27)/Combinations(5:22)/Dewey Square(8:01)
Dewey Redman(ts)/Charles Eubanks(p)/Mark Helias(b)/Ed Blackwell(ds)


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posted by やきとり at 01:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
5回連続して「公約」をしてみます、って?
Posted by kuroneko at 2010年02月21日 19:54
この程度の公約を守らなかったことは大したことではないっ!
Posted by やきとり at 2010年02月21日 23:31
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