2010年06月11日

地味

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IN THE BLINK OF AN EYE/SAM YAHEL(NAXOS JAZZ)/1999

1000円CDでお馴染みのクラシック専門レーベル「ナクソス」がジャズの制作を始めたのは、もう15年近く前だったか。現在ではジャズ部門は停止してしまったようだが、過去のカタログには掘り出し物も多く、これもそんな1枚である。

当時売り出し中のオルガン奏者サム・ヤヘルのナクソスでのリーダー2作目は、オルガン・トリオ+コンガという泥臭い編成。同じナクソスでの前作にはライアン・カイザー(tp)とエリック・アレキサンダー(ts)というスターが参加していたが、今回はあえてシンプルに直球勝負。それでもオルガンのヤヘル、ギターにピーター・バーンスタイン、ドラムスにブライアン・ブレイドと、現在では売れっ子ばかりの豪華メンバーだ。

まずはフレディー・ハバードの「リトル・サンフラワー」で幕を開ける。モッサリとしたオルガンの気怠いコードが充満する中、バーンスタインが慎重に音を選びながらアドリブを展開していくも、最後までさほど盛り上がることなくジ・エンド。最初はこんなもんか。次にマッコイ・タイナー「インセプション」が出る。インパルスに吹き込んだ同名アルバムでのタイナーの熱演を思えばこれは期待できそうだ。その期待通りアップテンポのフォービートでスイング開始。ちょっと優等生的なソロに終始するヤヘルに業を煮やしたバーンスタインのギターが熱い。

スタンダード「スプリング・イズ・ヒア」は、春というより気だるい梅雨の1日。もわっと蒸し暑いオルガンと、激しくはないが降り止まない小雨ギターの取り合せに意識が朦朧となる。ヤヘルのオリジナルの「イン・ザ・ブリンク・オブ・アン・アイ」はミディアム・テンポのワルツ曲だが、これも淡々とした演奏である。次の「ジャスト・ア・ソウト」(考え中?)はバーンスタインのオリジナル。こちらはなかなか良いメロディなのだが、やはり淡白だ。ブレイド以外は白人なので仕方ないのかもしれないが、せめてもう少し泥臭く演れないものか。

再びヤヘルのオリジナル「ソー・ロング」はコンガが参加している。歌詞をつけて歌えそうなメロウな曲だが、うーんこれも淡白。腕の確かな若手のくせにイケイケ感に乏しいんだな。それでもスタンダード「アイ・ビリーブ・イン・ユー」でやや持ち直す。ここはブレイドのドラムスに耳が行く。テーマ部分の複雑なリズムとフォービートの叩き分けのメリハリが素晴らしい。最後もスタンダード「ライク・サムワン・イン・ラブ」でしめる。ここは比較的雄弁なオルガンが聴ける。ギターソロの背後でうねるブレイドのシンバルワークも聴きものだ。

ここまで書いて改めて読み返すと「ダメ出し」ばかりだが、私はそんなに嫌いじゃない。たまに聴きたくなる不思議な引力があるんだよな。黒人の体臭でむせかえるようなハードバップでもなく、のど元に突きつけられた鋭利な刃物のようなフリーでもなく、非常に薄味のワビサビ・オルガン・ジャズ。年寄り向けか。

地味だけど滋味がある。音声のみ。

Little Sunflower(8:04)/Inception(5:42)/Spring Is Here(8:44)/In The Blink Of An Eye(7:43)/Just A Thought(7:28)/So Long(6:46)/I Believe In You(6:26)/Like Someone In Love(8:15)
Sam Yahel(organ)/Peter Bernstein(guitar)/Brian Blade(drums)


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posted by やきとり at 13:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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