2010年11月11日

床屋政談二題

■検察官適格審査会

今日の東京新聞の「こちら特報部」で、検察官適格審査会(検適審)について取り上げられていた。平たく言えば「自称正義の味方・検査官にも悪党はいるかもしれんから、そういう悪党を国会議員が監視するべ」という機関なのだが、戦後以来ほとんど機能した試しがない隠(さ)れた制度だ。その成り立ちについて保坂展人さんがコメントを寄せている。

戦後の司法改革で、連合軍総司令部(GHQ)は検察の暴走を抑えるため、検事公選制の導入を主張した。危機感を持った検察側は、これを阻止するために検適審の創設を提案した。

なるほど。検察が自らの権力をなるべく多めに維持するために、マッカーサーに揉み手しながら出した妥協案ということだ。案の定、その後は法務省内にコッソリ隠された、有名無実な機関になった。しかしご存知のように、菅家さんや村木さんの冤罪事件に象徴されるように、近年検察の暴力的かつ強引な取調べが問題になって以来、正義の味方・検察の威光は完全に地に堕ちた。検察官僚が政権交代を阻止するために仕組んだ一連の「小沢疑惑」も然りである。

検適審を取り上げたメディアは東京新聞だけだと思うが、それでも記事の後半でトーンダウン。「もろ刃の剣」「政治圧力の恐れ」「国民の監視が必要」「”親・小沢”委員が4人に」などと見出しを並べ、イマイチ腰が引けているのは残念だ。しかも最後に”親・検察”のヤメ検弁護士・若狭勝さんのコメントでしめくくる。

性悪説に立って多くの検察官に網をかけるならば、まじめに働く多くの検察官に対し、変な圧力になる。政治的に使われる恐れもある。

最高権力機関たる検察がこれまでさんざん政治的に動いてきたくせに、自らを審査する機関がようやく目覚めた途端「政治的に使われる」と危惧してみせる。さすがは国民の敵=検察である。まあヤメ検芸者のヒゲの妄言などどうでもいいが、東京新聞にしては腰が引けているなあと不満に思っていたら、すぐ横に掲載されていた斎藤学さんの連載「本音のコラム」を読んで、やはり東京新聞はマトモだなと思い直した。

政治に名を借りた検察官僚の跳梁跋扈こそ現代日本社会の宿痾だと思う。これを許したのは我々大衆の事大主義と依存性だ。依存性とは「自分には判断力も実行力もないが、誰か偉大な者が巨悪の動向をつかみ、懲罰してくれるはず」という水戸黄門様のこと。これを煽り続け、時には自ら水戸黄門様を演じようとしたのが官報化けした大マスコミである。特にテレビは電波の配分を通して政府・総務省の配下にあり、新聞との複合体は、真の「権力=検察」批判などできはしない。

■漁船衝突映像流出

ついでに海保航海士によるyoutube流出事件について。とにかく内部告発は歓迎すべき。愛国心ではない。おそらく剛腕・仙谷さんへの私怨みたいなものだろう。でも、それでいい。ジャーナリストの上杉隆さんが「今回の内部告発は西山太吉さんと同じケース」と看破していたが、まったくその通りだと思う。ちなみに西山事件とは、毎日新聞記者の西山太吉さんが、外務省の女性事務官と寝て政府の機密文書を引き出したというスキャンダルばかりが大きく取り上げられ、核密約で国民を欺いた佐藤栄作元首相の大罪がどこかに消えてしまった事件である。

調査捕鯨船の乗組員が鯨肉を常習的に横領している犯罪事実を暴くために、あえて宅配便の倉庫から鯨肉の入った段ボールを盗み出し、証拠品として検察に提出・告発した結果、なぜか有罪になってしまったグリーンピースの職員も同じケースだ。巨悪を暴くための瑣末な犯罪は許されるべき。そもそも鳩山内閣で行政刷新担当相を務めた仙谷さん自身が「ハトミミ.com」を立ち上げて、公務員からの内部告発を奨励していたではないか。


posted by やきとり at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 床屋政談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
肛門科より帰還のひです。不摂生はケツに出る。イテテ
漁船のハナシはそもそもが軍艦が特攻でもかけたんなら兎も角もたかだか漁船のオッチャンが回りを囲まれて追い込みかけられて頭がテンパった揚句にコツッと行っちゃった。程度のハナシなのに何でこんなに大事にしちゃうかね、マエナントカサン?てな感じですが。んっとに事を大きくするだけ大きくしといて後はほったらかしと言うか何の成算も無いまま吠えるだけと言うのを何回繰り返せば気が済むんだか。
流出事件に関しては事の是非より西山さんの時やグリーンピースの時には無視したり責め立てた連中ほど今回の犯人を擁護している様でキモチワルイっす。これが例えばアメリカ軍とか自衛隊のヤバイネタの流出とかだったらどう反応するのよサッササン。ですね。
で、マエダサン・オーツボサン・(ナマエ忘れた・・・)のネタはどうなったのかなぁ、マスコミの皆さん方?
Posted by ひ@愛国有理はアブネ〜 at 2010年11月11日 12:40
ひゃー、お大事に。当分はビールでキムチは控えた方が良さそうですな(笑)。で、前原さんの「場当たり行動」はメール事件の時から目に余りますね。八ツ場ダムも然り。毅然とブチ上げたのはいいけど尻すぼみで結局テメエはトンズラしちゃう。早く自民党に行ってくれないかしらん。

あと仰る通り、今回の航海士を擁護している勢力は、便乗した右翼成分が多めですね。これが「世論」だとは思えません。かと言って、自民党や右方面を喜ばせるミスばかり連発する菅政権を擁護する気にもなれず、仙谷さんの表情も日に日に醜悪になっていくし、これが政権交代の果実?

流出事件のお祭り騒ぎに隠れて、公安文書流出も検察改革もウヤムヤになり、雨降って地固まり官僚は胸を撫で下ろすというオチでしょうか。おっと、ひまださんも早いとこ地固まりますように。何卒ご自愛ください。
Posted by 諦念感やきとり at 2010年11月11日 13:19
お気遣いありがとうございますー。
結構色っぽい看護婦さんの居る前でケツ剥き出してジジィの医者に指つっこまれてカメラつっこまれて心が折れそうになりましたです。どぉせなら看護婦さんにやってもらいたかったですわん。お蔭様で手術はせずに済みそうのが不幸中の幸いでありやす。
で、誤報・虚報・捏造・隠蔽・ゴマカシマヤカシ何でもありのマスコミに「国民の知る権利」なんてぇモノを振りかざされると片腹痛い。明日は内科行きかぁ?
Posted by 何でヨミウリの記者が事前に知ってたのかおかしーやんけそれ。と思うイボひ at 2010年11月11日 14:12
それは別料金・・・てゆうか別のお店屋さんでございます。ひとまず手術を回避できたのは何よりです。しかし当分の間は、酒と辛い物は禁物ですぞ(笑)。

件の航海士。身元が明らかになりそうになったら、自ら日テレにタレ込んでみたりと、どうも怪しくなってきましたね。急に怖くなって保険でも賭けるつもりだったのでしょうか。日テレっていうところもアレですね。
Posted by やきとり at 2010年11月11日 23:31
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