2011年08月15日

ソフトフォーカス

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LIVING INSIDE YOUR LOVE/GEORGE BENSON(WB)/1977

かゆい所に手が届くようなトミー・リピューマのプロデュース、クラウス・オガーマンの夢見るような弦アレンジ、ロニー・フォスター、ホルヘ・ダルト、フィル・アップチャーチ、ラルフ・マクドナルドら腕利きのミュージシャンの手堅いオケ、そして歌心の塊ベンソンのギターが出会って生まれた76年の『ブリージン』は確かに名盤だと思うが、さすがに食傷気味だ。

それくらい『ブリージン』は売れたわけで、調子に乗ったレコード会社は翌77年に、ベンソンに3枚のリーダーアルバム制作を命じる。それが『イン・フライト』、『メローなロスの週末』(すごい邦題だね)、本作『リビング・インサイド・ユア・ラブ』である。前2枚と比べて見劣りしないどころか、まるで『ブリージン』と双子のようなアルバムなのに、なぜか本作の知名度は一段低い。『ブリージン』のスタッフが再集結して作り上げた2枚組大作(CDでは1枚)、どこを切ってもソフト&メロウである。

ソウルフルだが肩の力が抜けたリズムセクション、エアコンディショナーの風のように涼しげなストリングス、鮮やかなフィンガリングから生み出される瑞々しいアドリブ。もちろん前作、前々作同様、素人の余芸と笑うには余りにムーディーかつエッチなボーカルも数曲で披露。個人的にはボーカルはいらないんだけど、特にラストの「アンチェインド・メロディー」はちょっと恥ずかしい。

さらにアール・クルーのヒット曲「リビング・インサイド・ユア・ラブ」、ゴフィン=キング作の「ヘイ・ガール」、ブッカー・T&ザ・MG'sのヒット曲「ソウルフル・ストラット」、サム・クックのヒット曲「チェンジ・イズ・ゴナ・カム」、ルー・ロウズによる66年のヒット曲「恋はつらいね」、そしてライチャス・ブラザースの「アンチェインド・メロディー」。パッと見だと節操のない選曲で大丈夫かいなと心配になるが、聴けば安心。すべての曲にトミー・リピューマの魔法が掛けられ、全体がひとつのトーンにまとめられている。

まあ良く言えばジャケ写のようなソフトフォーカス、悪く言えばピンボケだ。「あっちーなあ、なーんもやる気しねえなあ」という時にピッタリである。なんだ、俺にピッタリだ。


80年代後期だろうか? イイ顔で歌うベンソンにサブイボ必至です


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posted by やきとり at 07:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
モダンジャズもその時代のポップス・歌もののヒット曲をうまく取り込んでジャズの演奏で聞かせるのが一つのスタイルになってたことを思えばフュージョンもジャズの正しい形そのものと見れますね。
モダンジャズ時代も、メロウな歌でも人気を博した白人トランペッターのチェット・ベイカーが居ましたね。私は聞いてないのですが。
Posted by pulin at 2011年08月21日 07:25
何でも取り込んでオノレの血肉とするという点で、ジャズ〜クロスオーバー〜フュージョンは地続きですね。ただ、ラップを取り込んだ辺りから煮詰まっている感があります。今はハードバップやフリーに先祖帰りしてるし、これからどうなることやら。

もっとも私は、未聴の名盤が山ほどあるので、ジャズの未来がどうなろうと知ったこっちゃありません(笑)。チェット・ベイカーはたまに聴くと良いですよ。あの声はチト苦手なのですが・・・。
Posted by やきとり at 2011年08月21日 09:18
YouTubeは88年の厚生年金会館ですね。
アール・クルーとのアルバム「コラボレーション」が売れての来日だったと思います。
サービス精神旺盛のベンソンと、生真面目なクルーは、いいコンビかもしれませんが、この曲はなあ...。
女性コーラスだけの、クルーのバージョンの方が好きですね。
おやすみミュージックにぴったりだし。
Posted by カ at 2011年08月21日 21:34
おお、そうでしたか。バブル真っ盛りですね。ベンソンのボーカルは、ちょっとでいいんですよ。出しゃばると、すぐお腹いっぱいになっちゃう(笑)。この曲について私はオリジナルよりも、CTIのジェレミー・スタイグのバージョンが好きです。こっちもナカナカ良いですよ。

http://www.youtube.com/watch?v=hdskabcIznM
Posted by やきとり at 2011年08月22日 16:17
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