2011年09月25日

HOWARD ROBERTS

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THE MAGIC BAND II/HOWARD ROBERTS(V.S.O.P)/1968

こちらは活動家のデモ報告ブログではございません。薄汚いオッサン(失業者)が音楽の感想文などを書いて、日頃のストレスを発散するブログでございます。どうぞ皆様、よろしくお願い致します。

ギタリスト、ハワード・ロバーツが68年にLAで行ったライブ音源。ギター、ピアノ、ベース、ドラムスのカルテットに、曲によって3人のテナー奏者が交代で加わるオーソドックスな編成。内容もオーソドックスだが、それでいい。68年といえば、東海岸ではフリーフォーム化、電化、クロスオーバー化と、ジャズの地殻変動が起き始めた頃だ。そんなのはどこ吹く風と、西海岸ではリラックスしたジャズが演じられていた。

知名度の低いミュージシャンの中で、注目されるのは若き日のトム・スコットとデイブ・グルーシンだろう。スコットは1曲のみ参加だが、グルーシンはすべての曲でピアノを弾いている。まずはザックリしたアレンジで叩き付けるようにテーマを流した後、待ちきれないとばかり高速フォービートに突入する「晴れた日には永遠が見える」。最初はいつもの滑らかさに欠けるロバーツのソロだが、背後で煽り立てるグルーシンにプッシュされて中盤から後半に掛けて大炎上を繰り広げる。パキパキと歯応えの良い粒のそろった高速フレーズが小気味良い。

ジョビンの「ワン・ノート・サンバ」は無難な出来か。この時代のジャズライブでは、ボサノバが不可欠だったのかもしれない。イントロのコードソロが始まった場面で、ケラケラ笑ってる女性客がいるぞ。それでもロバーツは真剣そのもの。サビのメロディは完全に無視して、とにかく音符を敷き詰めていく。チョーキングまで飛び出してブルージーな空気を醸し出すと、思わずフォービートに走ろうとするリズム隊。いやいや今演ってるのはボサノバだからと、グルーシンがメンバーをなだめる展開も。

「アローン・トゥゲザー」はテーマが湿っぽいので好きじゃないけど、ここでは高速フォービートで料理されるのでサッパリといただけます。ベースのチャック・ベーグフォファーという人は今でも現役だそうで、なんと2009年に初リーダー作を出したという苦労人。遊び心に飛んだウォーキングが好印象。しかしここではエディ・コスタもかくやと思わせる、グルーシンのパーカッシブなソロに耳を奪われる。お次はマット・デニスの「エンジェル・アイズ」ということで、湿っぽいスタンダードが続くねどうも。ここは原曲に忠実なアレンジでシットリと、官能的かつブルージーに、都会の夜のじじまに漂う霧のごとく渋い演奏だ。ただしバラードでもロバーツは饒舌。

短いギターソロの間奏を挟んで、ほぼメドレーで「マイルストーンズ」が始まる。アレンジがどうのアドリブがこうの言う前に、バンド全体が炎に包まれ疾走する爽快感をシンプルに楽しみたい。「ヘイ、ボーイズ! マイルス演ったから、次はコルトレーンだろ?」と、まるでジャムセッションの乗りで「ジャイアント・ステップス」へ。しかしこれが油断ならないスローなボサノバ・アレンジ。うーん余計なことを・・・この曲はどれだけ速く演奏できるかがキモなのだ。それでも途中でミディアムのフォービートに移行して、トム・スコットはコルトレーンとショーターからの影響を丸出しにしながら、オカルト風味のアドリブで観客を威嚇する。

流れでハンコックの「ドルフィン・ダンス」へ。大学のジャズ研の発表会みたいなプログラムだね。しかしいざ始まってみると、これが何てことない高速メジャー・ブルース。たぶんパーカーのマイナーなバップ曲か、バンドのオリジナルテーマか何かだろう。どうやら表記ミスのようだ。とにかく弾きまくり、吹きまくり、叩きまくりのブローイング・セッション。どうせ最後だしこのまま空中分解も辞さずの勢いで、バンド全体が全力疾走する。このガチャガチャした騒々しさこそ、まさにジャズの醍醐味。

何だかんだ言って、ロバーツだとこのアルバムが一番好きかな。


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posted by やきとり at 12:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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