2011年12月06日

濃縮ミナス

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BETO GUEDES/DANILO CAYMMI/NOVELLI/TONINHO HORTA(ODEON)/1973

久しぶりにブラジル物を。ミナス第一世代のベト・ゲヂス、ダニーロ・カイミ、ノヴェーリ、
トニーニョ・オルタが1973年にひっそりと(?)発表した連名アルバムが初CD化された。いずれも素晴らしい音楽家で、初期のミルトン・ナシメントを作曲演奏面で支えた、いわゆる「街角クラブ」の面々だ。収録時間31分と物足りなさも否めないが、これは買って大満足だった。ほこりっぽい陽だまりの中でまどろんでいるような音楽。

ベト・ゲヂスのボーカルが飛翔するオープニング曲から持って行かれる。どこに? もちろん宇宙である。ベトお得意のスペイシーな曲展開と、ハイトーンボイスの組合せはたまらない。次はトニーニョのボサ。これも良い曲。トニーニョの曲はとにかくイントロで空気を完成させてしまう。これはミルトン・ナシメントの曲づくりと似ているが、いざ歌が始まると、予想だにしない方角からメロディが飛び出してくるので意表を突かれる。姉のレナ・オルタが歌う不穏なカウンターメロディが耳をひく。不協和音をこれだけ気持ち良く鳴らせる人は、そういないんじゃないだろうか。

たとえば拡大鏡で観察すると、ある音を弾いて、次はこう行くだろうなあと予想した方には絶対に行かない。彼らの書くメロディは近くから見ても理解できないのだ。なぜそんな突拍子も無い進み方をするのか分らない。それが天然なのかあざとく狙った結果なのかは分らないが、ひとまず俯瞰の位置で見下ろすと、実に美しいメロディの曲線が描かれていることに気付かされる。ナスカの地上絵のような一見ざっかけない、ホコリっぽい素朴なメロディなんだけど、それを聴いていると想像力は宇宙まで広がっていく。一度ヤミツキになると、もうヤメられない。もっともっと聴きたくなる。

アルバムの作りとしては、メンバーそれぞれが曲を持ち寄り、全員で演奏して自分の曲ではボーカルを取る。街角クラブらしい手作り感があって好ましい。ザックリ言えばミルトンの名盤『クルビ・ダ・エスキーナ』を小粒にした感じだが、そのぶん旨みが濃縮されている。とにかく赤土濃度が濃い。ミナス中毒者向けかもしれない。もっともナチュラル変拍子の多用かつ転調しまくりの曲構成は、中南米プログレ好きにもアピールするだろう。ここだけの話、宇宙を経由して南アメリカ大陸中央の赤土の上に叩き付けられるような、1曲目から2曲目への展開を聴いただけで素晴らしいでしょう? ここだけの話。

ここだけの話、14秒くらいから始まります。


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posted by やきとり at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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