
トナカイなのか、サンタなのか。
JR原宿駅の表参道口改札を抜けて50mばかり歩くと、神宮橋のたもとに喫煙所がある。待ち合せ時間より少し早く着いた私は、そこでボンヤリと煙草を吸っていた。目の前を女の子の大群が河の流れとなって通りすぎて行く。昔も今も土曜日の原宿は、中学生や高校生で溢れているのだ。明け方の気温はヒトケタ台だったが、とびっきりの晴天に恵まれたせいで、じっとしていても暖かい。温泉に浸かったカピバラの気分で、目を細めて煙を吸い込む。背後に気配を感じて振り返ると、いつの間にかなめぴょんさんが立っていた。うーむ、さすがは「毒を吐くスナフキン」、まったく油断がならない。

日本初のデモ雑誌
『デモいこ!』河出書房新社より700円で発売中。なめぴょんさん御購入。
というわけで師走17日、今年最後のツイッターデモに参加してきた。なめぴょんさんと会うのは5月以来である。前回はマリンスタジアムで酒を飲み、夜は新宿で酒を飲むという、なかなかの強行軍であった。今回、なめぴょんさんの上京の目的は、夜は恵比寿リキッドルームでソウルフラワーのライブ参戦、そして昼は渋谷のツイッターデモ参戦である。2人で煙草を吸い終えて、代々木公園に向ってブラブラと歩く。「しかしライブとデモのためにわざわざ東京くんだりまで来るなんて、タフですなあ」「まあやっぱりね、本場のデモも一度は参加しておかないとね」「ははあ、本場ですかねえ。でもソウルフラワーは地元でも観られるでしょう?」「前回の時は仕事で行けなかったんですわ」、いずれにせよ凄まじいバイタリティーである。
例によって出発シーンでございます。

クリスマスムードに包まれた渋谷の街を突き進む不審な一団。
なめぴょんさんが愛器エッグシェイカー(別名:手動ローター)を忘れてしまったとのことで、僭越ながら私の新兵器スズを貸してさしあげた。がぜんクリスマスムードが盛り上がる。ちなみに私はダイソーで買ったミニフライパンを、菜箸で叩くことにする(詳細は上の動画参照)。代々木公園のけやき並木を抜けて渋谷側の出口近くに、すでに人だかりが出来ていた。およそ200から300人くらいの間だろうか。年内最後のツイッターデモだったが、今回はこぢんまりした行軍となりそうだ。それでも少数精鋭ということは、つまりやる気マンマンの人ばかり。出発前から場は十分に温まっている。

まるで青の絵具で塗りつぶしたような空。
こちらの人数が少ないせいもあるが、警官の数も今までで一番少ないように見えた。しかも常に笑顔で対応している。前回も感じたことだが、素人の乱主催デモと違って、ツイッターデモはそれほど警戒されていないのだろうか。いずれにせよ平和が一番。どうせなら楽しくやろうよ。で、客観的に見たところ、一番楽しんでいるのはなめぴょんさんであった。デモ出発と同時に、おもちゃのスズを小刻みに震わせて、ジェフ・ポーカロもかくやと思わせるスルドい16ビートを繰り出し始めたのだ。同時に身体を痙攣させるように、微妙なステップを踏みながら歩いて行く。しかも休みなく。うーむ、このパワーはどこから出てくるのだろうか。こちらも負けてなるかとフライパンをカンカンカンと叩く。しかし100円のフライパンは詰まったような音で抜けが悪く、サウンド的にはイマイチだ。

だいたい国連大学って何なのよ奥様? 失礼しちゃうわ。
デモ隊は西武デパートの間からセンター街を抜け、スクランブル交差点を横切って青山通りへ至る、いつものコースを進む。国連大学の前では、例によって籐製品や有機野菜などロハスな商品を販売するイベントが行われていた。ロハスの皆様、いまはそんな物より原発を止める方が先だと思わないかい? 一緒に歩きませんか? え? 歩かない? そうすか。歩いていると前の方から「ひとつずつ取ったら後ろに回してくださーい」と、チョコレートの大袋が回ってきた。甘いものは苦手だが、無粋なことを言ってもつまらないので、なめぴょんさんと1つずつ取って後ろに回す。なかなか良い雰囲気だ。

今日みたいな日は、ケッコー発電できたんじゃないだろうか。
シュプレヒコールをリードするトラメガ(トランジスターメガホンの業界用語)は隊列の先頭と後尾に1人ずついる。「原発反対!」「子供を守れ!」「故郷を返せ!」「東電いらない!」と声を上げながら進むが、デモ隊の中間にいる我々には時々前後が混濁して聞こえる。「原発守れ!」「子供はいらない!」「故郷反対!」「東電返せ!」、ゲラゲラゲラとフザけていたら、「やきとりさん、ちゃんと真面目にやってよね」と、脳内から声が聞こえる。そうそう思い出した。今回のデモでただひとつ残念だったのが、なめぴょんさんにもエリカの姿が見えなかったことだ。少年のようなピュアなハートを持つ人にしか見えないエリカ・・・あるいは、なめぴょんさんなら、きっと・・・と期待していたのだが。

スネア持ってる人がやたらと多かったなあ。
予定では2時スタートで2時間の行程だったが、ペースが速かったせいか3時半前にゴール地点に到着。パーカッション部隊が恒例の盛り上がり大会を繰り広げる間、私はさとしさんを探してあちこち歩き回るも、目印のプラカードを発見できず。やがて散会となったので、なめぴょんさんと渋谷に出て24時間営業の居酒屋「山家」でイッパイ。なめぴょんさんの切ないコイバナに、私の胸も切なくなる。話は尽きないが、なめぴょんさんはこれからメインイベントのライブが待っている。「今度は神戸の『びっきや』で明石のタイを食いましょう」と再会を誓い合い、渋谷駅の改札で別れた。まだ時間が早かったので地元の立ち飲みでイッパイ。ここはチューハイ150円、その日の刺身が200円、一番高い煮込みが250円という超リーズナブルな店。

カシラとハツ。下品なタレ焼きがうまい。右上の器にカネを入れておき、商品と引き換えるシステム。

なめぴょんさんに戴いたお土産。いつもすみません。高級カレーは正座して食います。
エリカはラブチョリスワールドにいけそうな喪男の俺には見えると思います!リアル女子にうつつをぬかしているなめぴょん先輩には喪男度が足りないです!
ともあれ寒い中ご苦労さんです(なんとなく上から
俺が行くとしたらダフもってくです。雪が降っちゃってあれこれ支度しなきゃいけないので春までMURIだけどNE☆彡
スナフキンかぁ(笑)。そして、その時やきとりさんは「俺の後ろに立つな」とゴルゴ張りに言ったんでしょうか。
はい、ノリノリのおっさんでしたがデモのときはいっつもこんなんです。
でも鈴と魂花のおかげで腕が上がらないわたくしはこれではプロのパーカッショニストとしてやっていけません。
だいじょうぶ、そんなレアーな赤身のにくは入ってないから足投げだして「やってるのか?!」と意味不明なことを叫びつつエラそうに食ってください。
>DoXさん
いやこれがもうだんだんリアル女子なのか妄想なのかよくわからなくなってきてるのが困りものです。
トナカイサンタの人は顔を見たら「こちら側」の人だったので安心して良いですよ(何が?)。ダフって何かしらと検索したら、イランの打楽器。そんな変なの持ってるDoX先生が謎・謎夫ですNE!
>somethingさん
イメージはスナフキンですね。ただし下ネタと毒をクールな表情で吐き続けるので要注意でございます。背後といえば、デモ中はエリカが縦笛を吹きながら私に付き従っておりました。
>なめぴょんさん
あの後も色々大変だったようで、ホントお疲れ様でした。まだまだ話し足りない感じだったので、今度はゆっくり飲りましょう。あとおエリカがよろしくって言ってましたYO!
>プーさん
コメントありがとうございます! やっぱりサンタ服は貸衣装なんですかねえ。カメラの青年は、妙に私を意識してるようなしてないような感じでした。公安だと思われてたのかな。ちなみに自分で自分は撮影できませんYO!
いいなあ。こういう店大好き。
なのに、一人で入る勇気はまだない。
スナフキンに会いたいなあ。
帽子かぶってるだけなんちゃうのと。
そうかなあ毒吐いてるかなあ。こんなに自由な愛らしい小鳥なのにー。
え、ぼく、食われるの?やぶさかではございませんが。