2012年02月28日

ちょうちん

Nagoya 2.jpg
AND THAT'S THE STORY OF JAZZ/AKIRA SAKATA & JIM O'ROURKE(FV)/2011

こちらは私やきとりが音楽の感想文など書いて、個人的に溜飲を下げるためのブログでございます。とはいえCDは買うものではなく売るものである、そんな逼迫した経済状況下、新品CDを買ってしまった。坂田明が、ジム・オルーク(g)、クリス・コルサノ(ds)、ダーリン・グレイ(b)の若手轟音トリオを率いて2008年に日本で行ったツアーを収めた2枚組だ。坂田とオルークのセッションはずっと買い続けているので、まあ致し方ないのです。

Disc1の2曲目に入っている岩手県花巻市でのライブ会場にいた菅谷義隆氏は坂田の旧友であり、「大槌町ジャズ愛好会」の会長でもあるそうだ。そして大槌で被災した菅谷氏は3.11以降、現在も行方不明のままであると、坂田が英文ライナーに記している。青空を背景に寂しそうに写っているちょうちん型の街灯は、花巻か、大槌か、どこの街のものだろう。

まずは最も長尺の「京都」が、アルトサックスの無伴奏ソロで静かに始まる。即興の中に牧歌的なメロディが顔を出す、想像がふくらむイントロだ。しかし若いバンドはいつまでも黙っちゃいない。しびれを切らしたようにオルークはギターの弦をピックでこすり、たくさんのビー玉をぶちまけたような素早く細かいパルスを送り始めるコルサノ。ここでヒラリと身をかわす坂田氏、すかさずオルークが凶悪なギターノイズを撒き散らしながら襲いかかる。やがて坂田氏も応戦。フリージャズのカタルシスをたっぷりと味わえる時間が訪れる。おお、これこれ。後半はクリアトーンのギターが提示する不穏なコードの上で、クラリネットに持ち替えた坂田氏がお得意の「笑いながら怒る」芸を見せる。ジャズでもデタラメでも芸術でもなく、これはもはや演芸である。中身が、あっという間の28分間。

激しいドラムソロで幕を開ける「花巻」は、気を持たせることなく、たちまち凄まじいフリーインプロへと雪崩れ込む。グシャグシャと伸縮するギター、思うさま暴れ狂うサックス、機関銃乱射魔と化すドラムス、巨大なハンマーを易々とふるい大地を揺るがすベース。緊張、弛緩を短いスパンで繰り返し、やがて「坂田明オンステージ」が始まる。「80日間世界一周」なんかを引用しながら好き勝手に思いのたけを朗々と吹く芸人・坂田明。ここでのオルークは一歩引いて、電子ノイズで坂田のメロディに奇妙な陰影を付ける作業に没頭する。冒頭に溢れていた戦闘のムードは無い。やがて興が乗ってきたのか「あれはええ、あれはええ」と謎の民謡(岩手の民謡?)を唸り出す。最後につぶやかれる「命の大切さが分る。以上!」というセリフは、まるで3年後の出来事を予兆するかのようだ。最後はクラリネットとギタートリオが夢見るような美しい瞬間を運んできて大団円。どちらかと言えば、私は1曲目よりこちらを買う。

ディスク2は名古屋でのセッションが3つ並んでいる(セットリストで一目瞭然)。激しいフリーインプロと牧歌的な時間が共存したディスク1と比較して、こちらは戦闘モードに満ちている。無限にマグマを吐き出し続ける坂田氏のアルト、無限に核分裂を繰り返し音の放射能を拡散し続けるオルークのギターノイズ、散発的に直下型地震を発生させて人々を不安のどん底に陥れるグレイのベース、波形の細かなパルスを送り続け人々の脳を静かに破壊していくコルサノのドラムス。CD1枚まるごと使っての、ほぼフリーインプロ大会。もうお腹いっぱいです。それにつけても坂田氏の気まぐれに瞬時に反応&対処できるのは、このグループならではの芸当だろう。オルークの変態ギター、コルサノの電波ドラムの味わいは相変わらずだが、うねうねと太く忙しなく伸縮するグレイのベースが、意外とジャズっぽいことに今回気付いた。

Disc1:Kyoto(28:24)/Hanamaki(25:25)
Disc2:Nagoya1(22:41)/Nagoya2(10:37)/Nagoya3(15:01)

本日から日本の国歌となりましたので皆様よろしくお願いいたします。


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posted by やきとり at 11:30| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初月給おめでたうございます! 遅かったけど。

この曲が国歌になって式典で流れたら、都教委のジジババと将棋馬鹿は悶死してくれるかも(セコを除く)。
Posted by カ at 2012年02月29日 01:29
おはようございます! YO-RU-DA-KE-DO! このパターン飽きたけど! 国歌ならDisc1のドラマチックな「Hanamaki」がモアベターよ! もっとも25分もあるのでQVCマリンでの試合開始がだいぶ遅れちゃいますけどね(笑)。で、月末ジメの翌24日払いのカイシャに1月6日入社、と非常にタイミングが悪く、ほぼ2カ月無給でした。とはいえ時給ディスカウントの研修期間(1週間)も含むため、手取りは15万円にも満たず。あと1カ月は倹約生活が続きそうです。それにしても、セコは妙に元気ですね。石原マラソンに出ろよと(笑)。
Posted by やきとり at 2012年02月29日 23:07
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