2016年05月05日

潮干狩り 後編

(前回までのあらすじ)

職場の同僚Kさんに潮干狩りに誘われ、途惑いながらも生まれて初めての貝掘り体験をする。図らずも海岸沿いのスクラップ工場の火災により強制避難させられるが、いくらかの釣果(ってやっぱ絶対に言わないはずだ)はあり。しかしアパ−トに持ち帰り砂抜きをしているうちに、水管や柔らかい身を無防備にダラリと垂れるあさりやホンビノスに情が移ってしまい食べるのが忍びない気分になってしまったやきとりだったが。

帰路もKさんに送ってもらいアパ−トに着くと、まだ午後3時だった。砂抜きする途中で何度もバケツの中をのぞきこんだが、二枚貝の間から突き出た水管からあっちで「ピュッ」、こっちで「ピュッ」と海水を吹く。何とも愛くるしい連中だ。3時間後、私はすっかり連中に情が移ってしまい、とても調理する気分になれなくなっていた。しかしこのままペットとして飼うわけにもいかないし、どうせ明日にはみんな死んでしまうのだ。私は勇気を振りしぼり、バケツの貝をザルにあけてタワシでこする作業を敢行する。

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(ザルにあけるとケッコー分量がありますが、すでに「食材」として見ることが出来なくなっている私)

一同あわててピタリと貝を閉じるも、なすすべもなくタワシでこすられる連中。それにしても貝を掘っている時とは大違いの、この切ない気持ちは一体なんなのだ。いい歳をしたオッサンが、海では切り身が泳いでると信じる現代っ子と同じである。しょせん私も都会育ちのモヤシっ子なのですよ。その弱気の虫を振りきるように、私はフライパンを火にかけた。あとは注いだ日本酒が沸いてきたら貝をザラザラと投入するだけ。酒蒸しは簡単な料理なのだが、私がとった行動は違った。フライパンではなく、ドンキホーテのビニール袋にザラザラと貝を入れ口を結んで冷凍庫へ。

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(問題先送り。決められない政治)

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(やきとりの意気地なし!)

それから10日ほど経った5月5日、GWも今日で最終日。常に冷凍庫の連中のことが気になっていた私は、意を決してドンキホーテの袋を取り出すことになる。今日やらねば、永遠に連中を安置&放置してしまう。今日こそ成仏させてくれようぞ。今度こそフライパンを火にかけて日本酒を注ぐ。

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(レシピはクックパッドを参考にしましたわよ奥様?)

酒が沸騰したところで、凍ったままのあさりとホンビノスを投入する。貝自体が冷えているため、煮沸がいったん収まったところで、フライパンをグルグルと回すように振り重なりあった貝を均等にならす。中火でしばらく蒸し煮にしていくと、小さなあさりから順に、まるで降参しましたわと言わんばかりにパッカリ、パッカと貝が開いていく。

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(ホン太郎よ、ビノ助よ、あさ子よ、サリ−よ、クラちゃんよ・・・バイナラ!)

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(しかしホンビノスの口がなかなか開かない)

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(そうだフタをするのを忘れてた。いみじくも酒蒸しである)

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(美味しくて簡単! あさりとホンビノスの酒蒸しの完成です! 子供たちにも大評判です! クックパッド風に)

話は変わるが今年4月の東京新聞の報道によると、船橋三番瀬にほど近い千葉市花見川河口におけるセシウム137の堆積量は相変わらず高いようだ。ましてや常に砂の下にもぐっている貝、いろいろと濃縮&蓄積しているのかもしれないが、47歳独身のオッサンの私は食べる。子供や、これから子供を産む可能性のある女性にはオススメしない。もちろん放射線量を計測して安全な数値内なら食べても構わないと思うが、測る道具もスベも無いんだから、ひとまずそう言うしかない。



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(身はやわらかく、とにかくダシが濃いです。おつまみに、お子様のおかずに。クックパッド風に)

私はこれだけ地震が頻発する日本で相変わらず原子力発電所を動かそうと暗躍する原子力マフィアも、過剰に危機を言いつのる放射脳ママも大嫌いなのだが、こうやって熊本の地震が起きたり、うまそうなあさりやホンビノスを目の前にするだけで、イチイチ放射能のことを考えさせられる現状はやっぱりイヤだ。核兵器廃絶がニュースになろうが、オバマが広島に来ようが、核発電をふくめた原子力という偽善そのものを廃絶しない限り、人類が原子力によって滅亡させられるのは時間の問題だろう。ま、私はその前にこの世からバイナラしてますけど。つーことで社会派ぽい感じで、とっぴんぱらりのぷう。

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(そして俺貝塚だけが残った)

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(あと全然砂抜きされていなかった。東京湾は粘土質の砂なのでジャリジャリはしないんだけど)
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posted by やきとり at 13:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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