「向井理って超カッコよくないですか? やきとりさん」と18歳のCさんに言われたので、本当は「向井理って誰ですか?」と訊きたかったけれど、空気を読んで「超カッコいいよね」とテキトーに返答した。私の部屋は飲み会会場と化している今日この頃だが、若者たちのコイバナを聞くと、そういえば私にもそういう時期があったなあと、清々しくも少し切ない、秋晴れの空のような気分になる。みんな悩んで大きくなった、大きいわ大物よ。そうそう、3日前に卒検をパスしてシャバに戻った大学3年生のGさんが、卒業前日に校内で「みんなで写メ撮りましょうよ」と言ったので、私も遠慮がちに端っこに写った。「帰って友だちに見せたらさ、この左端のヒトって教官? って言われそうだね」と面白くもない冗談を言うと、やっぱりウケなかった。自虐ギャグこそが本当のギャグと信じてやまない私としては少し不満だったが、前途有望かつ希望に燃える若者たちに、ネガティブな笑いは不要である。
今日は応急救護の講義を受けた。ジャミー君という人形相手に、人工呼吸や心臓マッサージをする実技科目である。ダッチワイフみたいな人形に「もしもし、大丈夫ですか?」と話し掛け、意識が無ければ「意識なし!」と指差し確認、さらに鼻に耳を近付けて「呼吸なし!」と指差し確認、やおら立ち上がって「すみませーん! 誰か助けてください!」と絶叫したり、とにかく演技力が求められる学科だ。43歳にもなって人形遊びも馬鹿馬鹿しいので「オレ、仕事なし!」「やる気なし!」「生きる価値なし!」などと練習中にフザけていたら、テストで落とされた。理由は心臓マッサージの際に、ジャミー君の顔を見つめる手順を忘れたせいだが、2回目はOKが出た。午後は実車。道路の中央をフラフラと走る自転車のお婆ちゃん、狭い1車線をトロトロ並走する原付バイクの女子高生2人組、こちらが左折しようと交差点に進入したタイミングで対向車線から無理に右折してくるタクシーなど、路上には危険がイッパイだ。夜、どうも野菜不足気味なので、宿舎近くの食堂でタンメンを食った。刺身や厚揚げが食いたいなあ。